ドキドキして何回も打ち間違いながら、慌てて送信!

「信か新~!どっちでもいいから、お客さんに駐車場案内してくれる?いま下に着いたからって」

「俺が行くよ」

「なんだよ新!俺も行くっつーの!」

2人で先を争うように、下に降りていった。
さて、じゃあ今のうちに盛り付けて、テーブルセッティングもしなきゃ。

「まひろ、これはもうOK?」

「うん。あ、お母さんこれもお願い!」

「おねぇ、ビールとか出さないの?」

「彼は車だからお酒はダメよ!お茶は熱いのか冷たいのか聞いてからね」

バタバタと最後の仕上げを済ませて、お迎えする準備万端。

「もうそろそろ来てもいいはずだけど」

ソワソワして玄関が気になるけど、まだ来る気配がない。
まさか、駐車場で車のトラブルでもあったんじゃ……。

「ちょっと私、見てくる!」

気になり出したら黙っていられなくなった。
玄関でサンダルを引っ掛けて、勢いよくドアを開けると、廊下の向こうから話し声が響いてきた。
ちょうどエレベーターが到着したらしく、こっちに向かってくるようだ。

もうすぐ、ここに、佐伯主任が来る……!


………………あ。
いつも見慣れたスーツ姿じゃなく、ラフな格好。
細身のジーンズに、黒のポロシャツ。
シンプルながら洗練されていて、思わず見惚れてしまっていた。

「姉貴!待ちきれずにお出迎えか?」

「翔さん、ちゃんと連れてきてやったぜ!」

「……今日は、お邪魔します」

「お待ちしてました、どうぞ。……ようこそ、蘭家へ」


まず家族に佐伯主任を紹介したんだけど、あの双子……。

「まさか、翔さんだったなんてな!なんのサプライズなんだよ」

信がまず言い放つと

「俺は薄々感付いてたけどな」

新はニヤニヤと私を見てきた。

「え、どうして2人とも主任を知っているの?」

なんと、面識があったらしい。

「2人とも、うちの父の教え子なんだ。だからうちに来たこともあるんだよな。そういえば新と信って名前しか聞いてなかったな」

嘘………。
そんなことってある?