そうか、こういう組み合わせもあり得るのか。
私にとっては微妙すぎる。

「所長、私は他に挨拶しておきたい方がおりますので、少し外しても宜しいですか」

「ああ、そのまま休憩に入って先に事務所に戻ってくれ。私は他に何件か用事があるから、夕方頃に迎えに来てくれるか?」

「承知いたしました。では失礼します」

あ、霧島さん行ってしまった。

「……少し話をしないか、まひろ。こんな偶然でもなければ会ってもくれないだろう?少しだけでいいから」

………………嫌だ。
話なんてしたくない。
というのが本音だけど、これは私が乗り越えなければならない試練なのかも。
『甘えるな!』と珍しく声を荒げたイチにぃを思い出す。
逃げてはダメだ。

「分かりました。あまり時間ありませんから、手短にお願いします」


さっき迫田さんと会った場所、リラックススペースへと移動した。

「広美……いや、お母さんが入院していたそうだけど、その後の経過は良好なのか?」

きっと話したのはイチにぃね。
余計なことをペラペラと!

「大丈夫です。心配ないですから」

「新と信は高校生だな。あかりも大きくなっただろう。みんな元気なのか?」

「元気です。だから気にしないでください」

「なにか困ったことはないか?私に出来ることがあれば何でも言って欲しい。父親として力になれることがあれば、何でもするつもりだ」

何を今更。
勝手なことばかり言わないでよ。

「……してもらいたいことなんて、ありません」

遠慮なんかしていない。
本当に何もして欲しいとは思っていないんだから。
父親づらなんて、やめて……。

「新と信は大学進学するのか?双子だから学費がかかる。援助させてもらいたいんだ。専門学校でもなんでも、好きな道に進むための援助を惜しむつもりはないから」

「だから!何も必要ないと言ってるんです!!」

つい興奮してしまった。
幸い周りには人気がなかったからよかったけど。

「貴方に出来ることがあるとしたら、私たち家族に金輪際関わらないようにしてもらいたい。ただそれだけなんです。母にも私にも弟や妹たちにも。もう放って置いて欲しい……。それだけです」