『きっと蘭さんなら電話くれるって思ってたし。部屋に入ったのも電話取ったのも修が勝手にやったんだろ?もしまた何か困った事があったら俺に真っ先に言えよ。じゃ、月曜日にな。おやすみ』

惚れた贔屓目かもしれないけど、シュウにぃと佐伯主任って同い年なのにまるで大人と子供だ。
大人な主任に似合う大人な女になりたい……。

「ねぇ、修一さんってどんな人かよく分からないけど、一弥さんと全く性格が違うような気がする」

「うん、確かにあの兄弟は似ていないかもね。イチにぃは自分よりも周りを気遣うけど、シュウにぃは自己中だし」

「そうなんだ。私も修一さんに会ってみたいな……」

なつみんはまだ会った事ないもんね。
シュウにぃもきっと会いたがってるよ、なつみんに。

食事が済んで、食後のデザートを待っていた時に、話題の人物が現れた。

「お、まひろじゃねぇか。昨日は楽しかったよ」

「え、シュウにぃ……」

カフェに入って来たシュウにぃと、背が高くてスラッとした綺麗な女性。

「もしかして、貴女が兄貴、宮本一弥の彼女さんですか」

なつみんに向かってニコッと笑顔を見せるシュウにぃ。

「修一さんですか?初めまして、有田菜津美です。一弥さんとお付き合いさせていただいています」

「こんなところで会えるなんて。あ、こちらは俺の仕事のサポートしてくれてる人。霧島さんっていうんだ」

「初めまして。宮本さんの助手の霧島です」

「初めまして、蘭です」

「蘭まひろ……。俺の従妹で、蘭所長の娘さんだよ」

「所長の娘さんですか。お父様にはいつもお世話になってます」

「いえ、私は父とは無関係ですから。お気になさらず」

「偶然会えたんだし、ご一緒させてもらっていいかな……有田さん」

「ええ、どうぞ。いいよね?まひろん」

「あ、うん……。霧島さんも、どうぞ」

どうしてこうなっちゃうの。
ゆっくりなつみんとお喋りしたかったのにな。

「有田さんとまひろって、仲が良いのか?さっきから見てると楽しそうに話してるけど」

「私たち、中学の同級生なの。偶然同じ職場になって、また仲良くしてもらってるんだ」