あたしもにこりと笑い、手鏡を出して髪が乱れてないかチェック。

白いTシャツに緑のフレアスカートのあたしの格好はおかしいところはなさそうやけど……。

「なあ、あたしの格好おかしくない?」

友達にそう訊ねると、友達はニヤリと笑って「大丈夫やよ!聖夜も見とれるって〜」からかってくる。

「これ真面目な話なんやけど〜」

あたしたちが笑っていると、友達が前から歩いてきた男性にぶつかってしまった。

「あ〜あ……。ようつんどる(混んでいる)から……」

あたしはそう呟きながら友達に手を差し伸べる。

「ありがと〜」

友達はそう言った後、男性に「すみません」と謝る。男性は青いメモ帳を取り出し、ペンを走らせた。

「いえ、こちらこそすみません」

男性は「耳が聴こえません」とその後に書く。あたしたちは顔を見合わせ、目を輝かせた。

ボランティア部の活動で、手話を学んだことがあったんや。それを思い出し、あたしたちは早速手話を使ってみる。