昨日の出来事をサナに伝えた瞬間にサナは怒り出した。怒りの矛先はケビンでもその彼女でもなくオレだった。初めはサナも大人しく聞いていた。全てを聞き終えると、少しの間、黙り込んだのだけれど、俯いた顔を上げた瞬間に堰を切ったようにオレを責め立てる。

「アイルが私の事を心配してくれるのはありがたいけど、アイルが心配するのは、アイルのお客さんじゃないの?そのケビンて人の彼女だって、もとはお客さんなんでしょ、だったらいつアイルのお客さんが同じ事するかわからないじゃない、ううん、アイルが知らないとこで手首を切ってるかも知れないよ、責任のとれないことはしないでよ」

そう言うと、サナは俯いて横を向いた。それから「少し熱くなっちゃった、ごめんね」と言った。

その言葉を受けて、オレは昨日のケビンに対する気持ちが見事にブーメランだったと気づかされたのだった。