そう言った希くんの指に、銀色のリングが輝いているのが見えた。

その瞬間、私は全てを察する。

久しぶりに会えたと思ったら、そっか。

結婚の報告に来たんだ。





――なかなか残酷だね、希くん。







私は本の少しだけ苦笑すると、希くんの頭を撫でる。

時々希くんの頭をすり抜けてしまうことがあるけれど、それでも、撫で続けた。

一応、今日まで頑張ってきたご褒美として。

希くんは微笑むと、花を置く。

そして、深い息を吸った。

「俺さ、未菜に言わなきゃいけないことがあるんだ」






―――ああ。と思う。






彼の口から紡がれるであろう言葉を私は受け止めなきゃいけない。