未菜の母は言うと、希を見た。
「…あの子ね、笑ってたわ。微笑んでた。おかしいわよね。知らない男の人たちに誘拐されたのに、笑ってたの。嬉しそうに。
―――多分、死ぬ前にあなたの姿を見れたんじゃないかしら」
希はブンブンと顔を横にふった。
「――そんなこと、無いです…」
「―あるわよ。
あの子ね、死ぬ前日に私に言ったの。あなたとの恋なら命をかけてもいいって。
――実際、そうなってしまったのはとても悲しいけれど。だけど、あの子はとても幸せだと思うの。最後に、
――自由になれて」
「でも…、俺のせいで…、死んで…」
「――シッー」
希が言おうとした言葉を未菜の母が口元に人差し指を当てて遮る。
「…あの子ね、笑ってたわ。微笑んでた。おかしいわよね。知らない男の人たちに誘拐されたのに、笑ってたの。嬉しそうに。
―――多分、死ぬ前にあなたの姿を見れたんじゃないかしら」
希はブンブンと顔を横にふった。
「――そんなこと、無いです…」
「―あるわよ。
あの子ね、死ぬ前日に私に言ったの。あなたとの恋なら命をかけてもいいって。
――実際、そうなってしまったのはとても悲しいけれど。だけど、あの子はとても幸せだと思うの。最後に、
――自由になれて」
「でも…、俺のせいで…、死んで…」
「――シッー」
希が言おうとした言葉を未菜の母が口元に人差し指を当てて遮る。