廊下は相変わらず騒がしい。


「なにがあったの?」


今起きたという演技をしながらドアを開けて確認する。


すると、ちょうどカヤ先輩が走って行くところだった。


手には水の入ったバケツが持たれている。


「火事よ!」


え……?


カヤ先輩が走っていた方へ視線を向けると、部屋から微かに煙が出てきているのが見えた。


「知枝!」


その声に振り向くと、青ざめた亜沙美が立っていた。


「亜沙美! 火事ってどういうこと?」


「あの部屋、瞳だよ……」


「え……?」


そう言われてよく見てみると、確かに煙が出ている部屋は瞳の部屋だったのだ。


あたしは息を飲んで近づいて行く。