「でた、角川カヤ」


そう言って笑ったのは亜沙美だった。


「女子寮のボス猿。ほんとうっとおしいよね」


あたしは亜沙美の言葉に賛同するように答える。


カヤ先輩は学校でも寮でも確かによく働いて、後輩の面倒見もいい。


だけど、好き勝手するためにこの学校に入学したあたしたちからしたら、口うるさい存在でしかなかった。


「はい、わかりました!」


カヤ先輩なら何かのプリントを受け取った女子生徒は、頬を高揚させてそう言い、教室へ戻って来た。


「カヤ先輩に用事を頼まれるなんていいなぁ!」


「1年生なのに、信用されてるんだね」


女子生徒たちは急に賑やかになり、きゃぁきゃぁ騒いでいる。


その光景を見ていた瞳が舌をだして「おえ~」と、吐く真似をした。


「なにあれ、カヤ先輩の信者?」


「だろうねぇ? 意外と多いよ?」


瞳の言葉に、亜沙美が答えた。