「確かにそうだよね。ねぇ、どうしてそんなにお金があるの?」


亜沙美の言葉に反応したのは瞳だった。


「あたしは支払ってないよ? 全部友樹が持ってくれるんだから」


亜沙美は自慢げな笑みを浮かべて答えた。


「友樹の家ってお金持ちなの?」


「さぁ? 行ったことないからわかんない」


あたしの質問に、亜沙美はまた肩をすくめて言った。


「いいなぁ、お金持ちの息子」


瞳はそう呟いて真仁と優歩の3人で会話をしている友樹へと視線を向けた。


その視線に気が付いたのは優歩で、瞳へ向けて軽く手を振っている。


瞳は手を振り返しながらも「今はお前じゃないっつーの」と、小声で突っ込みを入れている。


「あ、カヤ先輩!」


教室後方からそんな声が聞こえてきて視線を向けると、女子生徒の1人が慌てた様子で教室を出て行く。


開け放たれた窓から廊下を見てみると、そこには3年生の角川カヤ先輩が立っていた。


カヤ先輩は女子寮をまとめている寮長でもあり、生徒たちに慕われている。