「あたしたちも2年生に上がる頃には真面目になってたりして」


瞳がそう言いながらポケットからタバコを取り出し、躊躇することなく火をつけた。


あたしは窓を開けて換気しながら「冗談やめてよ」と、笑った。


あたしは2年生に上がったからと言って、今の性格を変えようとは思わない。


後輩ができるのだから、今以上に派手になっていてもいいくらいだ。


「先輩とかさ、真面目すぎるからあたしたちみたいなのにナメられるんだよね」


瞳がタバコをふかして言う。


「そうだよね。もっと先輩風吹かせればいいのに」


あたしはそう答えて笑う。


寮内で後輩をいいように使うことができれば、楽しい学校生活になるはずだ。


今の亜沙美みたいに、サボるために工夫をする必要だってなくなるだろう。


「そろそろメッセージしてみる?」


スマホで時間を確認した亜沙美がそう言った。


時刻は12時を回ったところだ。


一旦ドアを開けて廊下へ出てみると、常夜灯が付いているだけで明かりが漏れている部屋は1つもない。


本当に、気味が悪いほどの静けさだった。


「大丈夫そうだよ」


あたしは部屋へ戻って2人へそう言ったのだった。