「どうしよう、真仁……」


そう言うと、真仁が廊下の手前にある窓へ視線を向けた。


ここは確か、南の部屋だ。


「ここは俺が食い止めるから、この部屋の窓から脱出するんだ」


真仁が小声でそう伝えて来た。


あたしはゴクリと唾を飲み込んで女子生徒たちを見た。


1年生も2年生も集まってきていて、人壁になっている。


これだけの人数を、真仁1人で食い止めることができるとは思えなかった。


「1人とも早くこっちへ来て? なにも殺すわけじゃないんだからさぁ」


南はそう言ってあたし達に手を差し伸べる。


殺されるわけじゃなくても、こんな洗脳状態になるなら死んだ方がマシだった。


未だにジリジリと近づいてくる南たちに見て、あたしは真仁に目配せをした。


真仁は小さく頷く。


次の瞬間、あたしは南の部屋に体を滑り込ませていた。


同時に真仁が自分の体を盾にするようにドアを閉めて立ちはだかった。


あたしは一瞬躊躇したが、ドアにしっかりと鍵をかける。