カヤ先輩の眉毛がピクリと動く。


「掃除をサボったなら、その分掃除をさせればいいだけじゃないですか?」


「平方さんが素直に掃除をすると思う?」


そう聞かれて、あたしは口をつぐんでしまった。


なにを言っても亜沙美は掃除をサボるだろう。


こんな事態にならなければ、自分から謝り、動くこともないだろう。


「でも、今はもう大丈夫よね? こんなに辛い目に遭ったんだもの。次はサボらないわよね?」


カヤ先輩の言葉に亜沙美は何度も何度も頷いた。


「します。もうサボリません。だから許してください!」


ヤケドのショックのせいか、ガラガラにひび割れた声で亜沙美が懇願する。


「ね? 今のでわかったでしょ?」


カヤ先輩はあたしへ向けてそう言い、再び部屋の中を歩き出した。


あたしは再び下唇を噛みしめた。


カヤ先輩は何を言ってもこの狂行をやめないつもりみたいだ。


だとしたら……。


あたしは瞳へ視線を向けた。


瞳は青ざめて震えながら俯いている。


瞳の罪はわかりやすかった。


喫煙だ。


その上ボヤまで引き起こしている。