「花莉。もう出口だから目、開けて大丈夫」
そう言われてゆっくり目を開ける。
眩しすぎるくらい明るい。
校内の生徒はお祭り気分で騒いでいる最中だ。
「あ、ありがとう…詩、優……」
ちらりと詩優に視線を向けた時…
思わず大きく目を見開いた。
…可愛い
男の人を可愛いと思うのは喜ばない人の方が多いと思うが……今の詩優を見て可愛いと思わない人なんていないだろう。
黒髪からぴょこんと2つ、飛び出しているもふもふの黒い犬耳。
白いシャツの上に赤いベスト、黒いズボンに黒いマント。
口元からはキラリと輝く牙が見える。
…吸血鬼、だろうか。お耳生えてるけど……そこが怖さなんて感じられない。むしろ可愛すぎる。可愛すぎて
もふもふしたい
なんて言ったら怒られてしまうだろうか…



