「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
明日葉はすごい速さで走り去っていく…
「待って…!!明日葉…っ!!!!!!」
私の声も虚しく、明日葉に届くことはなかった。
暗闇の中で1人になった途端、余計に怖さが増してくる。怖くて、なんだか寒い…
目の前にはまだ髪の長い人がいて、逃げたいのに1歩も動けなくて、視界がだんだん涙で歪んでいく…
手から滑るように落としてしまった懐中電灯。ただ意味もなく足元を照らしている。
私はもうここから出られないのだろう…
そう思った時に
「倫也。あんまいじめんな」
突然優しい声が上から降ってきて、視界が真っ暗になる。とん、っと抱きとめられた体は何か温かいものに包まれて私の恐怖を和らげていく…
彼が誰なのか、すぐにわかる。
「…詩、優……っ」
声を出せば涙が溢れてきて、優しい声の人物にぎゅうっと抱きついた。
「脅かしてたの倫也だから。大丈夫」
詩優がそう言うと、
「あははっ、ごめんね?ひめちゃん」
と倫也の笑いながら言う声が聞こえてくる。



