すぐに離された手。
それが少し寂しい、と思ってしまったのはきっと気のせいだ。




「明日葉と妃芽が泣きながら相談してきてな…京子を助けに来た。あとは俺があの男を追い払っておくから教室に戻れ」


「花莉と明日葉は?」





「妃芽は詩優が回収してるし、明日葉は倫也が追いかけたから大丈夫だ」


「…そっか」




…それなら安心。




「ありがとね、竜二」


「京子が無事ならそれでいい」




ドキッ




胸が高鳴ったのも気のせい。





ちょっと顔がいいから、ちょっとかっこいいこと言われたから、助けてもらったから、そう思っただけ。




っていうか、竜二…今日はいつもの伊達メガネしてないじゃない。




だからいつもと少しだけ違く見えるんだ。





「もう時間だろう。早く戻った方がいいんじゃないか?」





そう言われて腕時計を見ると、今は14時を過ぎたところ。クラスの手伝いは14時半からだから今から行っても余裕で着きそうだ。





花莉にお化粧してあげるから早く教室に戻って自分の化粧でも終わらせておくか。