「それにそのままじゃ…キス以上もできねぇだろ?」



にやり、と口角を上げる目の前の彼。




私は詩優の腕をぺちぺちと叩いた。




病院で、しかも病人になんてことを言うんだ。
この人は…!!











「うそうそ。待ってるから。ゆっくり頑丈な体に治せよ」




きゅっと右手を絡み合わせるように繋いで、反対の手で優しく頭を撫でてくれる。




大好きな人の優しい手。





元気になってから、詩優に言おう。

“詩優が私を連れ戻してくれたんだよ”
って。お礼をしなくちゃ。