花莉side





暗闇の中へ落ちていく。





上を見れば、眩しいほどの光があるのに。





真っ逆さまに落ちていく。





……やだ。
嫌だよ。暗闇はやだ。暗闇にいると周りが見えないの。誰もいないところにずっと1人でいたくないの。






誰か……
助けて……






───……詩優












心の中で彼を呼んだ時、ぐいっと右手を掴まれた。
そのおかげで暗闇の一番下までは落ちずにすんだ。




顔を上げて、私の手を掴んだ人物を見ようと思った。




思わず目を細める。上は眩しすぎて、私の手を掴む人物の顔すら見えない。




その人物はゆっくり、私の手を引いて光の方へと連れて行ってくれる。












強く手を握ってくれるのは、温かくて大きな優しい手。





涙が出そうになった。
この手が、誰の手だかわかったから。








私がよく知る人の、大好きな人の手……。