体が動いた。
大好きな人が怪我をしないように。





次に自分の脇腹を見た時には、刃物の柄が突き出ていた。
瞬間、買ったばかりのピンクベージュのブラウスが赤く染まっていく。




「花莉ーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」




大好きな彼の声が耳に届いたけれど、もうそっちを向く余裕なんて私にはなくて。
鋭い痛みが私を襲う。





立っていられなくなって、その場に倒れ込む。
ドクドクと自分の血が流れ出ていくのがわかる。





「花莉っ!!!!!!!!」





詩優はすぐに駆け寄ってくれて、自分の上着を脱いで、脇腹に当ててくれる。
血が流れでる右の脇腹へと……。





「今病院に連れてくから!!!!!!目ぇ閉じんじゃねぇぞ!!!!!」





少しずつ、確かに…
耳に届く声が遠くなっていく。詩優が電話をする声すら聞こえない。





「……し……ゆ……」






寒いよ、もっとこっちに来て
声が聞きたい









詩優のそばにいたいの