「わかりました」
詩優がそう返事をすると、優しそうな男性は隣の部屋の扉を開けてくれる。
詩優が手を引いて中に入ろうとするから、ぺこりと頭を下げてから部屋の中へと入った。
部屋の中には、2人がけのソファが向かい合うように2つ置かれていて、真ん中にはテーブルがあった。
…応接室、だろうか。
部屋の扉が閉まると、詩優は優しそうな男性に向き直って、「お久しぶりです」と頭を下げた。
誰だろう、という疑問はあったが、私も頭を下げた。
きっと偉い人、だと思ったから。
「詩優くんが彼女を連れてくるまで成長するとはね」
頭をあげると、その男性はにこにこと笑っていた。
“彼女”と言われたことが素直に嬉しくて、頬が緩みそうになるのを必死で我慢。
すると、男性は私と目を合わせて
「私は竜二の父、二ノ宮 利一(にのみや りいち)。妃芽乃くんのことは詩優くんからもうちの社員からもいろいろ聞いているよ」
また優しく微笑む。
えっ!?竜二さんのお父さん!?
「初めまして!!ひ、妃芽乃 花莉ですっ!!あの、いつも竜二さんには本当にお世話になってますっ!!」
詩優と繋いだ手を離して、もう一度ぺこりと頭を下げた。



