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「初めまして妃芽乃花莉です初めまして妃芽乃花莉です初めまして妃芽乃花莉です初めまして妃芽乃花莉です」
まるで何かの呪文のように自己紹介の練習をする私。
隣を歩く詩優はふっ、と笑って「うん。そのあとは?」と聞いてくる。
さっき、少しだけでも緊張が和らいだはずなのに…。“HEARTS HOTEL”に着くとまた緊張がMAXになる。
久しぶりに来たから……
余計緊張する。
詩優は私の手を繋いで、恋人繋ぎにするけど。
今、すごく手汗がやばい。
詩優に手汗をつけるのはさすがに申し訳なくなる。けど……手を繋いでいない方が不安なんだ。
ごめんね、と心の中で謝っておく。
詩優に手を引かれて歩いて、HEARTS HOTELに入るのかと思ったら、まさかの素通り。
「夜瀬詩優さんとはお付き合いさせていただいてますっ!!」
なんで入らないの?、と聞こうと思っていたのに。どうして自己紹介の練習の言葉が先に出てきてしまったんだろう。



