「奏太がわかんないとこあるらしいよ~」
壮くんが代わりに教えてくれる。
「え、どこ?」
奏太くんに向き直ると、また「チッ」と舌打ちをされた。
「奏太くんのバカ。今日の夕飯にピーマンいっぱい入れるよ」
「…その前にここから追い出す」
ここからっていうのは、奏太くんと壮くんの部屋。
つまり私と詩優が暮らす一つ下の階。私は2人の部屋にお邪魔している最中。
なんで来ているのかって?
それは、中学生組の勉強をみるため。私も勉強はそこまで得意ではないし、高校では赤点を取っているけど…国語と英語だけはそれなりにできるんだ。
誠くんも遊びに来ているから、この部屋にいるのは今4人。こたつにみんなで入っている。
奏太くんと壮くん、2人はすごく勉強が苦手みたいだけど。詩優が2人を同じ高校に入学させたいみたいで2人に何かを言ったらしい。
中学生組は今中学2年生で、私たちは高校2年生。つまり…私たちが高校卒業していなくなった頃に3人が入学するかたちになる。
詩優は2人に何を言ったんだろうか。