クリスマスデートが終わって、詩優とは赤点補習の日しか会えなくなった。
赤点補習がない日、詩優は社長補佐をしている。冬休みの間はほとんど社長補佐があるから、『HEARTS HOTEL』に泊まりで行ってしまった。
…寂しい。けど、仕方ないこと。
詩優は私たちの安全のためにお父さんと取引をしたんだ。
本当は私が働かなくちゃなのに…。
「…なぁ、あんた。ここ」
働きたいって言ったら詩優に許可もらえなかったんだ。
また無断でやるにしてもバレたら…絶対怒られる。それで喧嘩とかしたくない。
だから…私には待ってることしかできないんだ…。
はぁ…とため息が出る。
「おいブス」
目の前に座る奏太くんの声が聞こえて、私はすぐに我に返った。
「…チッ」
舌打ちをして睨んでくる奏太くん。
そんなふうに睨まれたって怖くないもんね。
べーっと舌を出してぷいっとそっぽを向く私。