「花莉」



大好きな人に名前を呼ばれて、はっと我に返る。
そして、隣に座る詩優を見た時──









「んっ」





唇を塞がれた。
温かくて大きな手が手が頬に触れて。




詩優の熱が伝わる。









長いキスになるのかと思ったが、すぐに唇は離れてしまい。
こつん、と額をくっつけて目を合わせる。




至近距離に詩優の整った顔。
ドキドキと心臓が暴れ出す。




「これから先、ずっと一緒って約束な。俺から離れても必ず捕まえに行くから」




いつもの彼の声がすぐ近くで聞こえるから余計ドキドキする…。





「…もう…絶対離れない」





少し小さな声で返事をすれば、





「指切り、もう一回しよ」





くっつけたおでこを離して、詩優は自分の小指を私の前に出した。





…そうだ。
前に一回、詩優と指切りをした。“鳳凰”との抗争の時に、私と詩優は別れて…。全て終わったあとに、離れないって約束をしたんだ。




だから、指切りのし直し。




私も自分の右手の小指を出して、詩優の指切と絡め合わせて。
指切りを交わした。