「交換条件っていうのは、冬休みに社長補佐を手伝うこと。
あ、赤点補習の日は見逃してもらえたから。そこは安心だな」




詩優はにっ、と笑う。
その笑顔は無理して笑っているようにも見えなくて……本当に無理、してないの?




「私も…私も働く…!」




ぎゅっと詩優の袖を掴んだ。




「危ねぇからだめ」


「…やだっ!!朱里さんにお願いしてみるもん!」





「そんなことしなくていいから…、俺の頼み1個聞いて?」



…頼み?




「なに…?」


「親父に花莉を正式に紹介したい」




…詩優のお父さんに…っ!!





繋いだ手は絡み合うように繋がれて、ぎゅっと力を込められる。





こくん、と頷けばその手を強く引かれて…
気づいた時には詩優の腕の中にいた。





「さんきゅ」





ぽんぽんと頭を撫でてくれる手があまりにも優しいから、大人しく頭を撫でられる私。










今から緊張するけど、
詩優のお父さんに…しっかり挨拶しないと…。