でもね。
…これから先、ずっと一緒にいたい人だったらいるの。
私は…
詩優の…そばにいたい。
“詩優のお嫁さん”…それは間違いではない……。
その言葉を口にしていないのに、体温が上昇してきて。
恥ずかしくて詩優の顔が見られない。
下を向こうとすると、それを制するかのようにくいっと顎を持ち上げられて。
詩優から逃げられない。
「教えて」
逃がしてもらえないこともわかってる。
だから…。
私はひと呼吸してから
「…詩優のそばにいたい。それが私の夢」
真っ直ぐに、詩優を見つめ返した。
すると、詩優は満足そうに笑って。
「俺さ、一人暮らしすんのに親父と取引しててさ。その取引っていうのが…一人暮らしする代わりに、高校卒業したら大人しく親父の跡を継ぐこと」
それは…つまり、“HEARTSHOTEL”を…社長を…継ぐということ。