「花莉、進路って考えてる?」
「へ?」
急に話が変わるから思わず間抜けな声が漏れた。
…そ、そんなに交換条件のことを言いたくなかったのだろうか……。
私に心配かけないために…。そうやって話を逸らされると余計心配になるんだよ…。
っていうかなんで急に…進路……?
そこで思い出したのは、さっき先生に見せられた私の進路希望調査。
京子が書いたものだけどそれには──
「“詩優のお嫁さん”」
ドキッ、と心臓が跳ねる。
だって、それを言ったのは私ではなく詩優だったから……。
「あれに書いてあったのは花莉の文字じゃねえけど……。ほんとはどう思ってる?」
ピタリと立ち止まる。
それから、真っ直ぐな瞳で見つめられて…
ドキドキと心臓が早鐘を打つ。
『ほんとはどう思ってる?』か。
正直、進路なんてよく考えたことがない。
やりたいこともないし、得意なこともない。
これといって人に誇れるようなところもないし…。



