「……おしることね、磯辺餅があったの。お母さん、たくさんお餅焼いてくれてたんだけど、私…いつもひとつずつしか食べられなくて」
「花莉、胃袋小さいもんな」
「あの頃はたくさん食べたかったの。冬樹くんだってたくさん食べてたから」
「…へえ?“冬樹くん”、ね」
詩優はなぜかそこに反応して、繋いでいた手をぎゅっと強く握ってくる。
さらに、繋いでいない方の手で私の頬に触れて。
身体中の体温が上がって、ドキドキとまた心臓が暴れ出す。
そんな私の反応を見て楽しむかのように、目の前の彼は
「顔赤い」
にやりと笑う。
そう指摘されると余計に恥ずかしくなって。
どんどん顔が熱くなっていく。
「そういう可愛い反応されるとキスしたくなる」
少しずつ、顔を近づけてくるから私は慌てて口元を手で覆った。
キスされないように…。
だいたい、康さんが学校まで送ってくれてるのに何を言い出すんだ。
私たち2人だけじゃないのに…。
「…帰るまで我慢する。だから…帰ったらキスしまくるから覚悟して」
詩優は私から離れて、またにやりと口角を上げる。
帰ったら私は詩優から逃げることはできないだろう…。



