少しして、カチッとドライヤーのスイッチが切れる音。




「髪伸びたよな」




丁寧に髪をとかしてから、髪を掬って耳にかけてくれる。




詩優と出会ってから、1年くらい。
髪なんて切っていないから、伸びる一方だった。





「…長いのと短いの、どっちが好き?」





そう聞いたのは、詩優の好みを知りたかったから。
もし短いのが好きって言ったら切るし、長いのが好きって言ったら伸ばすつもり。





「んー。特に考えたことはねぇけど」


「…どちらかというと?」





眠い目をこすりながら、後ろを向いた。
そこで気づいたことがひとつ。詩優の髪が濡れたまま、だということ。





先に私の髪を乾かしてくれたんだろうけど…
詩優が風邪ひいちゃう……。





「乾かしてあげる」





詩優からドライヤーを奪って、後ろにまわってスイッチを押す。





詩優の髪は短いから乾くのがあっという間。