遠くで声がする。




「花莉」




大好きな人が私の名を呼ぶ声。





その声はだんだん大きくなってきて…
私の脳内に響く。





それから、パチッと目を開けた。





「髪の毛乾かしてから寝ろ」





目の前には大好きな詩優がいて。
温かい手が私の頬に触れて、むにっと引っ張る。






その手が心地よくて…
手を重ねて、





「…好き」





声を出した。





「……ん。知ってるから。早く髪乾かそうな」





優しい声が耳に届いたあと、もう片方の頬もむにっと優しく引っ張られた。





そういえば…帰ってきてお風呂に入ったんだっけ。
ぼーっとする脳を少し回転させる。





「…乾かして」


「ちゃんと起きてろよ?」




「…起きてる」





返事をすれば頬から温かい手が離れた。
それから肩にかけてあったタオルを取られて、髪の毛に優しくて触れられると温かい風を後ろで感じた。





髪に触れる手があまりにも優しいから…
なんだかくすぐったい。