「先に寝ないで…」


「…だったら早く寝ろ」





「…寝られないの」


「羊数えてやろうか」






「子守唄がいい……」





小さく呟けば、詩優の耳に届いたようで「りょーかい」と言ってからどこかで聞いたことがある歌をゆっくり歌ってくれる。






その歌はあまり上手とは言えないけど……
不思議とすごく落ち着く…。






…詩優の歌、初めて聞いたな……。






…私ね、もっともっと詩優の隣にいたいよ。
もっともっと詩優のこと知りたいの。







「…音痴」


「…寝ろ」






「最後に…おやすみのキス、したい」


「…子守唄はいいの?」






私はふふっと笑ってから、「音痴だったから大丈夫」と返す。






「おい」





詩優も笑ったあと、私の唇に優しいキスをおとした。











あと、キスも何回できるのかな…
とか思ったらなんだか悲しくなって、私は涙が溢れないように目を瞑った。