世界No.1の総長と一輪の花 II








「ん」




もう1回キスしてほしくて、目を閉じる。




そしたら、そっと触れるだけのキスが落とされた。
キスはやっぱり一瞬で、長いキスはしてくれないみたい。




「…あ」




花莉が小さな声を出すから、何事かと思い目を開ける。




「どした?」


「…詩優のサイン欲しい、です……」





赤い顔のままちらっと俺を見てから、花莉は恥ずかしそうに俯いた。




…何で敬語なんだろ
っていうかキスして思い出すことか?





ふっ、と思わず笑ってしまう。





「…笑わないでっ!」





花莉はぽかぽかと俺の胸を叩いて攻撃開始。
まぁ、その攻撃も力がこもっていないから全然痛くないんだけどさ。





「いいよ。いつでもサインしてやるって言ったし。俺で良ければどこにでもするから」





花莉は途端に花が咲いたような可愛い笑顔になると「サインして欲しいものあるから持ってくるね!」と言って俺の膝からおりて走って行く。





…そんなに嬉しいもん?
芸能人でもないのにな。






花莉が喜ぶならいいんだけど。
もう少し膝の上に乗っててもらいたかったかも……