詩優の言葉が嘘ではない、というのがわかる。
温かい手で頭をゆっくり撫でてくれているし、何より優しい表情だから…。
“今の俺は”
じゃあ昔は…?辛くないわけないよね…。自分の家族が亡くなったんだもん…。
今は乗り越えたとしても昔は辛かったはず…。
そう思っていたら、唇に柔らかい感触が…
すぐに離れた詩優は、
「また辛くなったら花莉が俺を支えてほしい」
と優しく笑う。
こくん、と私は頷いて詩優に抱きついた。
「…約束する」
私は、この時…
できない約束をしてしまったんだ。
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