どれくらい時間が経っただろうか。
何も考えたくなくて、ただぼーっとしていた。







けど、





ガチャン!!





という玄関の扉が開く音が聞こえてきて、私の意識ははっと元に戻った。







ここの部屋の鍵を持っているのは私の知る限り4人。
詩優、私、奏太くん、壮くん。だから帰ってきたのはさっき詩優を探しに行ってくれた奏太くんか壮くんだと思った…








詩優に会って何を聞けばいいのかまだ自分の頭の中でよく考えていなかったから。





















私の目の前まで来た彼───────
詩優は、息を切らしていて。






「…無事で良かった」






そう呟いてから座ったままの私をぎゅっと抱きしめる。







じわっと目に涙が溜まる。







詩優のことがわからないから。






























抱きしめられていることは嬉しいはずなのに、

嗅いだことの無い甘い甘い香水の匂いがするから……余計嫌な方へと考えてしまう。