「あの2人って別れたんじゃないの?」
どこからか聞こえてきた声。
……そうだ、みんなは私と詩優がまた付き合ったことを知らないんだ…
みんなの視線が痛くて、俯いて歩く。
手を繋いだまま、詩優は
「花莉」
と私の名を呼ぶ。
ぱっと顔を上げた時、詩優の整った顔が近づいた来て……
唇に熱くて柔らかい感触。
…え…え?
…もしかして…キス、されて……
!?
離れようと必死で、繋いでいない方の手で詩優の胸を押す
が…指をするりと絡めとられ、トンっと背中に壁がぶつかって体を押し付けられてしまった。
私はされるがまま、詩優のキスを受け入れる。
「んっ…」
声が漏れた頃には唇を離してもらえた。
ちらりと周りにいる人たちを見ると、やっぱり私と詩優を見ている。
恥ずかしさで顔がどんどん熱くなっていく……
それからぎゅっと私の顔を隠すように詩優は私を抱きしめてくれて…
「俺の女に手ぇ出したやつ、ただじゃおかねぇから」
低い声で言う。