「…しーくん、花ちゃんは今どこ?」
静かになった部屋で姉貴が口を開く。
「…今地下の部屋にいる」
「パパには私からも言っておくから!しーくんは花ちゃん連れて帰りな!!」
ドンっと背中を強く叩いてくる姉貴。
そのおかげで足が動く。
「…さんきゅ」
それだけ伝えて部屋を出て、すぐにエレベーターで地下まで行った。
鍵を開けて部屋に入ると、ベッドの上にはまだすやすやと眠ったままの女の子がいた。
…ほっと一安心。
スマホを操作して康に電話をかけると、ありがたいことにすぐに電話に出てくれる。
「迎えの車頼む」
『わかりました。すぐに行きます』
「さんきゅ」
たった15秒で通話は終了。
「花莉、起きろ」
花莉の頬を突っついて起こしてみる。
けど、「んー…」と言うだけで全然起きる気配がない。