すぐに社長室へと行って、ノックもせずに部屋の中へと入った。
「しーくん!!!」
「詩優!!!」
部屋の中にいたのは姉貴と葉月、それから……
デスクの椅子に座るスーツを着た、親父。
親父は一目俺を見るがすぐにデスクへと視線を戻す。
…見て見ぬふりだ。
「…俺の婚約者、勝手に決めんな」
バンッ!と親父のデスクに手をついて睨めば、親父はため息をつく。めんどくさいとでも言うかのように。
「もう決まったことだ」
親父はそう言ってから葉月に視線を向けて、「このバカ息子をよろしく頼む」と言った。
「俺の婚約者は___________」
「妃芽乃くんには私が責任をもってふさわしい相手を探しておくとしよう」
俺の言葉とわざと被せてくる。全く俺の話を聞く気がないみたいだ。



