「葉月、俺もう行くから」





葉月にそう告げて俺は会場内を見渡した。
人が増えてきたせいで花莉がどこにいるのかわかんねぇ…






…誘拐された、とかねぇよな。
……いや、ありそう。小動物だし……







でも、万が一会場を出れば外にいる竜二が知らせてくれるはず。







とりあえずジャケットにしのばせておいたスマホを出して花莉に電話をかける。







…でも、繋がらなくて……







不安は募るばかり。








いてもたってもいられなくなり会場内を移動して、花莉を探す。
その間にいろんなやつに声をかけられても全部無視。







今は他のやつの話聞いてるほど余裕がねぇ。










「そこはやらぁ…っ」









近くで聞こえてきた女の子の色っぽい声。









…この声……!!