……気づいていたのだろうか
「ひゃっ…!!」
思わず声が出る。
だって、詩優が私の首元にキスをするんだから。
触れられたところが熱を帯びていく。
優しいキスを落とされて、徐々に込み上げてくるのは安心感。
「…榊に触れられたところ、全部教えて」
詩優は顔を上げて、真っ直ぐな瞳で私を見つめる。
その真っ直ぐすぎる瞳に思わず目を逸らしたくなる。けど、彼からは逃げることは不可能だろう。
「……見せられない…」
「見せて」
「…汚い女…だと思われちゃう……」
「思わねぇよ」
じわりと目に涙が溜まる。涙がこぼれ落ちないように耐えていたのだが…
瞬きした瞬間、ぽたりとこぼれ落ちてしまった。
もし、詩優に服の下の赤い痕を見られたらどうしよう。冬樹くんとキスしたことを話して嫌われてしまったらどうしよう……
そんな不安しかない。
「あのな、俺が初恋の女の子離すわけねぇだろ。俺がどれだけお前のこと好きかわかってんの」
そう言って指で私の涙を拭ってくれる詩優。