同日、午後七時半過ぎ。
無事に気怠い月曜日の業務を終えたさくらは、パソコンの電源を切り小さく伸びをする。肩凝りが酷いなと思いながら、隣の席に目線を向けると、優が首を傾げながら問いかけてきた。
「さくら、飲みに行くんでしょ?」
「うん。月曜から付き合わせてごめんね~」
「気にしないで。じゃ、行こっか」
優はさくらの言葉に優しげに微笑むと、バッグを肩にかけ、さくらの肩をぽんっと軽く叩いた。
二人は足早に退社すると、真っ先に行きつけの居酒屋に向かう。
よくあるチェーン系列の居酒屋ではなく、昔から街の人々に親しまれてきた狭くも温かい人情身溢れるお店、そこが二人の仕事帰りの憩の場だった。
暖簾をくぐり店の引き戸を開けると、店の女将が笑顔で二人を迎え入れる。
「いらっしゃい! 何にする?」
「おかみさん、こんばんは~。とりあえず生ビール二つで」
「あいよ。美人さん二人には、おつまみもサービスしちゃおうかね」
狭い店内はすでに満席に近い状態になっており、二人は空いていたカウンター席に座り、注文した生ビールを片手に乾杯を交わす。
「で。何があったの? 上田課長のこと?」
「いや、上田課長が仕事しないのは何時ものことだから……気にしないんだけど。えっと……」
さて。どうしたものか。此所に訪れる道中、優に何と説明するか永遠と思考していた。しかし結局、何も良い案が浮かばなかったのだ。
「……猫……拾ったんだけど、逃げられちゃって……」
「猫? さくらのマンションってペット禁止じゃなかった?」
「あ……」
しまった。すでに墓穴を掘り始めているような気がする。そうじゃない。いや、しかし。あの男、何となく猫に似ている感じがしたのだ。それで、つい口走ってしまった。
無事に気怠い月曜日の業務を終えたさくらは、パソコンの電源を切り小さく伸びをする。肩凝りが酷いなと思いながら、隣の席に目線を向けると、優が首を傾げながら問いかけてきた。
「さくら、飲みに行くんでしょ?」
「うん。月曜から付き合わせてごめんね~」
「気にしないで。じゃ、行こっか」
優はさくらの言葉に優しげに微笑むと、バッグを肩にかけ、さくらの肩をぽんっと軽く叩いた。
二人は足早に退社すると、真っ先に行きつけの居酒屋に向かう。
よくあるチェーン系列の居酒屋ではなく、昔から街の人々に親しまれてきた狭くも温かい人情身溢れるお店、そこが二人の仕事帰りの憩の場だった。
暖簾をくぐり店の引き戸を開けると、店の女将が笑顔で二人を迎え入れる。
「いらっしゃい! 何にする?」
「おかみさん、こんばんは~。とりあえず生ビール二つで」
「あいよ。美人さん二人には、おつまみもサービスしちゃおうかね」
狭い店内はすでに満席に近い状態になっており、二人は空いていたカウンター席に座り、注文した生ビールを片手に乾杯を交わす。
「で。何があったの? 上田課長のこと?」
「いや、上田課長が仕事しないのは何時ものことだから……気にしないんだけど。えっと……」
さて。どうしたものか。此所に訪れる道中、優に何と説明するか永遠と思考していた。しかし結局、何も良い案が浮かばなかったのだ。
「……猫……拾ったんだけど、逃げられちゃって……」
「猫? さくらのマンションってペット禁止じゃなかった?」
「あ……」
しまった。すでに墓穴を掘り始めているような気がする。そうじゃない。いや、しかし。あの男、何となく猫に似ている感じがしたのだ。それで、つい口走ってしまった。



