さくらからの簡潔で、それでいて純粋な想いが伝わる二度目の告白に、煉は感情が抑えきれなくなり、少し強引に、それでいて優しく、唇を重ね合わせた。

 軽く触れられていた唇は、啄み、やがて徐々に深い口づけへと変わっていく。

 触れ合っていた唇から一度離れると、煉は愛しげにさくらの顔に触れる。そして、口づけの心地好さに惚けていたさくらを、お姫様のように抱き上げた。

「え? ちょっと、煉?」

「悪いが今日はもう、我慢が出来る気がしない」

 先ほどの気だるくなる程の甘い空気は、煉のその一言によって掻き消される。さくらは言葉の意味を理解すると、赤らめていた頬を更に上気させ、無意識に目蓋をぎゅっと閉じる。

「嫌か?」

「……ううん、嫌じゃ……ないよ。でも、お姫様抱っこは恥ずかしいんだけれど……」

 さくらは目蓋を閉じたまま、首を控えめに左右に振る。

「これからもっと、恥ずかしいことをするのにか?」

「なっ! 変なこと言わないでよっ!」

 煉は意地悪な笑みを浮かべ、さくらを見下ろしていた。さくらは照れ隠しのように、足をじたばたとさせるが、煉は気にも留めずに寝室へと足を運ばせた。

 
「そういえば、今日は酒を飲んでいないんだったな」

 お姫様抱っこの状態で、ベッドに運ばれたさくらは、煉の発した言葉に反応する。

「う、うん、そうだけど、それがどうかしたの?」

「いや、ならば先ほどの、さくらが言った言葉も、これからのこともきっと、忘れられることはないと思っただけだ」

「……忘れるわけ、ないよ」

 先の言葉を噛み締めるように、さくらは自分からそっと煉を抱き寄せた。

「そうか、ならば良かった。……さくら、愛している」

 煉はさくらに何度も優しい口づけを落とし、微笑みながら愛を告げた。