冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

ふぅ、さすがに朝から食べ過ぎたかな……。

満腹になったお腹をさすり、安西部長と食堂を後にしてロビーの前を歩いていると。

「あ、おはよう、よかった君に会えて」

キラッと朝日を浴び、眩しいくらいの笑顔を浮かべて歩み寄ってきたのは……貞操観念ゼロ男の佐々岡さんだった。

ああ、朝から嫌な人に会っちゃった。

昨夜のことなど微塵も感じさせないような笑顔に、神経の図太さというよりも何事も気にしない楽観的な性格なのだと改めて実感させられる。

「別に、こっちは会いたくもなかったけどな」

安西部長が無愛想に言うと、佐々岡さんが眉尻を下げる。

「今からチェックアウトなんだ。そんな怖い顔するなって、昨夜は悪かったよ、ちょっと酒が入ってたからさ」

なによ、あんなひどいこと言っておいて全部お酒のせいにするつもり?

なんの反省の色もなくケラケラと笑う佐々岡さんに呆れてしまう。

「安西の元上司に、お前が元気に東条でやっているって伝えておくよ」

ポンと気安く佐々岡さんが肩に軽く手を載せると、安西部長の額に「小」の字に皺が寄った。

「ああ、そうしてくれ。それと、俺は俺で自分に恥じない仕事を全うしている、とも付け加えておけ」

ササッと肩にかかった埃でも払うように、安西部長は触れられた箇所を叩く。佐々岡さんはそれを見て鼻を鳴らすと、私のほうを向いて口を耳元へ寄せてきた。