私の虚勢が徐々に崩れそうになっていく。佐々岡さんはそれを面白がるように口元に嫌な笑みを浮かべた。

「僕って人の気持ちを読むのが得意なんだよね。今も図星を指されたって顔してるよ、違う?」

「いい加減なこと言わないでください」

落としたペットボトルを拾ってその隙に気持ちを落ち着かせようとするけれど、今にも手が震えだしそうだ。

「うちの会社で散々世話になったくせに、まさかあの東条リゾートに行くなんてね。なんの当てつけのつもりかなぁって。あいつから昔の話を聞いたと思うけど……ほんと、ろくなやつじゃないよ?」

ろくなやつじゃない? それを佐々岡さんが言う?

拾ったペットボトルを胸に抱き、鋭く佐々岡さんを睨む。

「佐々岡さんが安西部長のことをそこまで悪く言う理由がわかりません」

「あんなやつやめて僕にしなよ。そうしたら、じっくりその理由を教えてあげる」

「結構です。それに、ほかにもナンパした可愛い子がいるじゃないですか、さっき大浴場で嬉しそうに女の子たちが話してましたよ」

安西部長のことを悪く言われて気分が悪い。なかなか折れない私に佐々岡さんはやれやれというように頭を掻いた。