冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

なにを言うかと思えば、それはまったく予想もしていないひとことだった。私は目を瞬かせ、安西部長と……視察。そう思うと無意識に顔が曇った。

「柊には別の仕事に回ってもらう。女ったらしで二股男でも仕事はできるやつだからな。あいつにしかできない仕事を急ぎで受けちまって、どうしたもんかと考えてたところだったんだ」

あぁ、よりによって安西部長と視察だなんて、嘘でしょ……。

考えて見ればそれは健一と視察に行かなくて済むということだ。けれどその代わりに苦手な安西部長と視察に向かわなくてはならない。しかも二泊三日もずっと一緒に仕事。どちらに転んでも痛い究極の選択だ。

「ちょうどそのホテルの施設確認をして来いって上から言われてたしな。んで、どうする?」

仕事だと割り切ったつもりで健一と視察に行ったとしても、なにか失敗でもしたら部内に迷惑をかけるし「お前、メンタル弱すぎ」と安西部長に小言を言われるのは目に見えている。

安西部長は苦手だけど、それこそ仕事だと割り切れば二泊三日くらいどうってことないかもしれない……。

そう考えて、私は決意した。

「わかりました。安西部長、視察同行よろしくお願いいたします」

潔く返事をしてぺこりと頭を下げると、安西部長は満足げにニッと笑った――。