安西部長に抗議しようと口を開いた途端、私のお腹が「腹減ったー」と催促し始める。

「あっはは! ほんと、わかりやすいやつ。本能のままに生きてるって感じだな」

うぅ、笑われちゃった。恥ずかしい!

あまりの恥ずかしさで真っ赤になっている私に安西部長が微笑みかける。

「早く戻るぞ、ホテルの飯が待ってるからな。東京の一流ホテルから引き抜かれたっていう料理長だから、腕前は確かだ」

「えっ、ほんとですか! 楽しみです」

なにより食べることが大好きな私は、安西部長の話を聞くと先ほどまでの恥ずかしさなんて吹き飛んでしまった。

仕事では厳しい人だけど、一緒に時間を過ごしていくうちに私の知らなかった彼の一面が次々と明るみになる。そしてもっと彼のことを知りたい、そう思わずにはいられなかった――。