冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

いきなり安西部長が現れたことで滲んだ目元を整える余裕もなかった。目敏く指摘されて恥ずかしさがこみ上げる。そんな私の強がりに、安西部長は唇の端をあげて笑った。

「健一のバカヤロー! 女ったらし! 二股最低男! 呪われろーっ! か、大人しい性格だと思ってたが、なかなか言うじゃないか。いい声出てたぞ?」

先ほど叫んだ言葉をそのまま繰り返されると、ますます恥ずかしくなって俯く。しかも安西部長に健一と付き合っていたことがバレてしまった。

「お前、来週の視察あいつとだろ? しかも泊りで」

そのお達しを下したのはほかでもない安西部長だ。そんなこと、わざわざ聞かなくても知ってるくせに……なんの嫌味?と心の中で毒づく。

先日、企画部でカップル限定の二泊三日宿泊プランがリニューアルされ、東条リゾート熱海ホテルで今、それを試験的に実施している。その視察に二泊三日で健一と一緒に行く予定になっていた。

「仕事は仕事ですから、私は構いません」