冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

あーもう、調子狂うなぁ。もしかして仕事じゃなくてプライベートで来たのかも? なんてチラッと思っちゃったけど……やっぱりどうでもいいことだよね! うん。

自分にそう言い聞かせて納得すると、「なんでもありません」と話を無理やり終わらせた。

「とにかく、俺が言ったことも今回の視察に取り入れて報告書にまとめあげてくれ。あとでチェックするから」

「了解しました。バッチリ頑張ります!」

「返事だけはいいやつ」

「もう、返事だけじゃありませんから! 見ててください」

「ああ、期待してる」

ぎゅっと胸の前で両拳を握って気合いを入れるポーズをすると、安西部長は柔らかに笑った。

期待に応えるためにも頑張らなきゃ! って、でもその前に喉が渇いた。

そうだ、さっき飲み物を買いに行くって言って結局何も買わずに部屋に戻ってきちゃったんだっけ……。

「あの、やっぱり私飲み物買いに行ってきます。今度こそコーヒー買ってきますね」

「ああ、言い忘れてたけど備え付けのインスタントでさっき済ませたから別に俺はいい」

「そ、そうですか……」

なんだ、それならそうと言ってくれればいいのにー! でも、買い置きくらいあってもいいよね。

安西部長は気まぐれだから、やっぱりコーヒー買ってきてもらえばよかった。なんて言うに決まってる。

私は再びパソコンに視線を移す安西部長を横目に部屋を出た――。