冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

「まぁ、かと言ってプランのことばかりじゃなく、ホテル近隣の施設やレジャースポットについてもPRとして取り入れて考えなければだめだな。お前が事前に作成してきたものに足りないのはそれだ」

「はい」

私は安西部長から言われたことを追記していく。

ああ、だから七十点ってわけね……納得。

安西部長の抜け目のなさに改めて感心してしまう。これが、彼の仕事は完璧だと言われる所以なのかもしれない。

「ところで、安西部長はここのホテルは初めてじゃないんですよね? ホテルのホームページにはテニスコートやプールがあるって記載されてましたけど……」

ほかにもなにかなかったかと、バッグの中からパンフレットを取り出して再確認する。

「ああ、何度か来たことはある。だから、近隣のことは知ってるつもりだが……なんせ、二年も前のことだから、色々変わってるだろうな。それ、見せてみろ」

パンフレットを手渡すと、安西部長はうーんと低く唸って隅々まで目を通し始めた。

「以前は誰と一緒に来たんですか?」

別にどうでもいい質問にも思えたけれど、なんとなく気になって尋ねた。

「秘密」

「は? 秘密って、隠すことですか?」

ああ、やっぱり聞くんじゃなかった……。

すると、安西部長はパンフレットから視線をあげて悪戯っぽい笑みを口の端に浮かべる。

「なんだ、気になるのか?」

「べ、別に! ちょっと聞いてみただけです、変な誤解しないでくださいよ」

「ふぅん、誤解って?」