冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

「遠方から来た客はなおさらだ。大抵旅疲れしてるからな、そんな疲れを癒すようなちょっとしたサプライズが欲しい」

「なるほど、そういうおもてなしがあったら、確かに気分も明るくなりますね。そうだ! 女性だけでなく、ちゃんと男性にも喜んでもらえるようなものってなにかありますか?」

ウェルカムドリンクはとにかく、ウェルカムスイーツも花も、ちょっと女性寄りな気がするんだよね……。

そう考えていると、安西部長がニッと笑った。

「自分の女が喜んでる姿を見たら、男はなんだって嬉しいもんだ」

はっ!? な……なに、今のキザな台詞!

けど、どうしてかわからないけれど……なんかかっこよく見えちゃったのはなぜ!?

急に鼓動が速くなって、顔が赤くなる前に私は誤魔化すように下を向いてペンを走らせた。

ここの部屋に入ったとき、安西部長が言うような物は置いてなかった。改善すれば、PRポイントに持っていけるかもしれない。

安西部長、ちゃんと女性目線で物事考えてる。こういうことに気がつくのってやっぱりすごいな……。

「私みたいにあんまりプライベートでリゾートホテルに来ない人にはピンとこないかもしれませんけど、ホテルに泊まり慣れてる方からしたら、そういう特別感は嬉しいかもしれないですね」

「お前みたいに泊り慣れてない客でも、なおさらそういうサービスは嬉しいだろ?」

「今、しれっと嫌味なこと言いましたね?」

キッと軽く睨むと、安西部長はうそぶいてクスリと笑った。

もう、良いこと言ったかと思ったらひとこと多いんだから……。

からかわれているとわかっているのにムキになれば、それこそ安西部長の思うつぼだ。