冷徹御曹司と甘い夜を重ねたら、淫らに染め上げられました

「あのなぁ、それじゃ普通の宿泊客と同じだろ? カップルプランっていう限定のものなんだから、ほかになにか期待しないのか?」

ほかに……と言われましても。

「じゃあ、安西部長が女性の立場だったらどう思いますか?」

「上司の質問に質問で返すとはな……」

うぅ、なんか目が怖い。

不甲斐ない私に安西部長が深いため息をつく。

「そうだな、俺が女だったら……カップル限定と謳っているなら、部屋に花があるかどうかってとこか?」

親指と人差し指で顎をさすりながら考え込む仕草は、安西部長の昔からのクセだ。女子社員がよく安西部長のことを“渋い男”“大人な男”ともてはやしているけれど、よくよくみると……そうなのかもしれない。

「花って、お花……ですか?」

「植物の花もアリだが……まぁ、ウェルカムドリンクやウェルカムスイーツとかがあるのか、ほかのプランと特別になにか違いがあるのかを見るかな、要は差別化だ。カップル限定なんだから、それなりに特別感が欲しいだろ?」

これが模範解答。と言わんばかりの返答に、私は食いつくように安西部長が言ったことをメモに取る。